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【はじめての介護】親の変化に気づいたらどうする?介護保険の申請手順から保険外サービスの活用まで

2026/10/01

親の暮らしにちょっとした不安を感じても、「何から始めればよいのかわからない」「まだ介護が必要な状態とは言えない」と、相談をためらう方は少なくありません。


介護保険サービスを利用するには、市区町村へ申請して要介護・要支援の認定を受ける必要があります。しかし、家族だけで解決策を決めてから動く必要はありません。まずは、親御さんが暮らす地域の相談窓口へ、今困っていることをありのまま伝えることから始められます。


この記事では、介護保険の相談からサービス開始までのステップを分かりやすく解説するとともに、制度の枠組みだけではカバーしきれない、介護前の見守りや日常の交流を支える選択肢についてもご紹介します。


介護保険はどのような人が利用できる?


介護保険は65歳以上の方だけでなく、特定の病気がある40歳以上の方も対象となります。年齢や病名だけでなく、日常の暮らしでどの程度手助けが必要かが総合的に判断される仕組みについて解説します。


対象となる方の条件(第1号・第2号被保険者)


介護保険サービスの対象となるのは、要介護または要支援の認定を受けた方です。


  • 65歳以上の方(第1号被保険者):日常生活に介護や支援が必要となった場合、原因を問わず認定を受ければ利用可能。
  • 40~64歳で医療保険に加入している方(第2号被保険者):がん末期、関節リウマチ、初老期における認知症、脳血管疾患など、国が定める16種類の特定疾病が原因で介護・支援が必要になった場合に利用可能。


認定の基準は「生活上の困りごと」の実態


認定は、病名や年齢だけで一律に決まるものではありません。食事や入浴、排せつ、移動、服薬、金銭管理、意思疎通など、日常生活を送るうえで「どの程度の介助や見守りが必要か」を総合的に判定します。


そのため、一人暮らしだから必ず認定される、認知症と診断されたら必ず要介護になるというわけではありません。一方で、本人が「自分でできている」と主張していても、家族による頻繁な電話確認や食事の準備、通院同行、服薬確認がなければ暮らしが成り立たない場合は、その支援の実態をしっかり伝えることが大切です。


介護保険を利用するまでの7つのステップ


介護保険の利用は、専門窓口への相談から始まり、申請、認定調査、ケアプラン作成を経てサービス開始に至ります。後悔しない介護選びのために知っておきたい、具体的な手続きの流れと家族のポイントを7段階で解説します。


1.市区町村または地域包括支援センターへ相談する


最初の相談先は、親が住民票を置いている市区町村の介護保険担当窓口、または担当地区の地域包括支援センターです。離れて暮らす家族からの相談も受け付けています。


地域包括支援センターは、高齢者の暮らしや介護について無料で相談できる公的な総合相談窓口です。保健師や社会福祉士、主任介護支援専門員(ケアマネジャー)などの専門職が配置されており、介護保険の申請手続きはもちろん、その他の公的・地域サービスも含めて幅広く相談に乗ってくれます。


相談するときは、次のような情報をメモしておくと状況が伝わりやすくなります。


  • 転倒、物忘れ、食事量の低下、家事の滞りなど、最近の気になる変化
  • 本人が一人でできること/家族が手伝っていることの実態
  • 持病、通院先の医療機関、服用中の薬
  • 住まいの環境(例:一人暮らしか、同居家族がいるか)
  • 家族が困っていることや、今後の心配事
  • 本人の介護サービスに対する気持ち・意向


「まだ介護が必要か分からない」「以前より外出が減った」という段階でも、遠慮なく相談してみるとよいでしょう。


2.要介護・要支援認定を申請する


介護保険サービスが必要と考えられたら、市区町村の窓口へ「要介護・要支援認定」を申請します。本人や家族が申請するほか、地域包括支援センター等に申請の手続きを代行してもらうこともできます。申請に必要となる書類や情報は以下のとおりです。


  • 介護保険要介護認定・要支援認定申請書
  • 介護保険被保険者証(65歳以上の方)
  • 健康保険証などの医療保険証(40~64歳の方/加入している医療保険の確認書類)
  • 主治医の情報(かかりつけ医の医療機関名、医師の氏名、所在地など)


※必要書類や受付方法は自治体によって多少異なる場合があるため、事前にお住まいの市区町村の案内をご確認ください。


※普段かかっている主治医(かかりつけ医)がいない場合でも、申請を諦める必要はありません。どの医療機関を受診して意見書を書いてもらえばよいか、申請時に市区町村の窓口へ相談できます。


3.訪問による「認定調査」と「主治医意見書」の作成


申請が受理されると、判定のベースとなる「認定調査」と「主治医意見書の作成」が並行して進められます。


まず認定調査とは、市区町村の調査員などがご本人の自宅や施設を訪問し、心身の状態や日常の様子について聞き取りを行うことです。身体機能だけでなく、認知機能、精神・行動上の特徴、社会生活への適応など、全国共通の調査項目に沿って確認されます。


続いて主治医意見書とは、市区町村から、申請時に指定した主治医(かかりつけ医)へ直接作成が依頼される公的な書類です。医師が医学的見地から、病気やケガの状況、身体・認知機能の障害の程度、特別な医療処置の有無、日常の自立度や介護上の留意点などを記入します。家族が直接医師から受け取って提出するのではなく、市区町村と医療機関の間でやり取りされるのが基本です。


認定調査や主治医意見書の作成について、ご家族は下記の内容を意識しておくとよいでしょう。


高齢の方は、調査員や医師の前で「何でも自分でできる」と張り切ってしまうことが少なくありません。そのため、認定調査では「薬は飲めている」ではなく「カレンダーにセットして、毎日電話連絡をすれば飲める」のように、普段どのような手助けがあって成り立っているかを具体的に伝えます。頻繁に起きないトラブル(転倒、夜間の混乱、失禁など)もメモで渡すと確実です。


主治医意見書においては、普段の診察時間が短いと、医師が日常の暮らしでの困りごとを把握しきれていない場合があります。申請するタイミングで、日頃の生活上の変化や困っている実態を主治医に伝えておくと、より実態に即した意見書を作成してもらえます。


4.介護認定審査会での審査・判定


認定調査の結果(一次判定)と主治医意見書の内容をあわせて、医療・保健・福祉の専門家で構成される介護認定審査会が審査(二次判定)を行います。判定結果は下記のいずれかです。


  • 非該当(自立)
  • 要支援1・2
  • 要介護1〜5


要介護度において、数字が大きいほど必要な介護の程度が重いことを示します。ただし、特定の病名や症状だけで機械的に決まるものではなく、必要な介護の手間を総合して判定されます。


5.認定結果の通知を受け取る


認定結果は、原則として申請日から30日以内に市区町村から通知されます。ただし、調査日程や主治医意見書の作成状況などにより、30日を超えることもあります。


通知書には、要介護度と認定の有効期間が記載されています。認定には期限があるため、継続して介護保険を利用する場合は、有効期間が終わる前の更新申請が必要です。また、心身の状態が大きく変化し、現在の要介護度が実態に合わなくなった場合は、有効期間の途中でも区分変更申請を検討できます。


認定結果に納得できないときは、まず市区町村の介護保険担当窓口へ行き、判定理由や今後の手続きを確認しましょう。不服申立ての制度もありますが、状態の変化がある場合は区分変更申請の方が適することもあります。


非該当になった場合でも、まったく支援が受けられないとは限りません。自治体が実施する介護予防・日常生活支援総合事業、配食サービス、通いの場、見守りなどを利用できる場合があります。利用条件や内容は地域によって異なるため、あきらめずに地域包括支援センターへ相談してみましょう。


6.ケアプラン(介護サービス計画)を作成する


認定を受けただけで、サービスが自動的に始まるわけではありません。本人や家族の希望、生活上の課題、心身の状態を整理し、どのサービスをどのくらい利用するかをまとめた「ケアプラン」を作成します。ケアプラン作成の依頼先は以下のとおりです。


  • 要介護1〜5で自宅生活を続ける方:居宅介護支援事業所と契約し、ケアマネジャーへ作成を依頼する。
  • 要支援1・2の方:地域包括支援センターの担当職員、または委託を受けた居宅介護支援事業所のケアマネジャーなどが介護予防ケアプランを作成する。
  • 施設への入所を希望する方:希望する施設へ直接申し込み、施設側のケアマネジャーと調整を行う。


なお、ケアプランの作成費用は原則として全額保険給付されるため、利用者の自己負担はありません。


ケアマネジャーには、「入浴を手伝ってほしい」といった目先の介護希望だけでなく、「家族が仕事を続けられる体制にしたい」「本人の外出や交流の機会を保ちたい」など、生活全体の希望や思いを伝えることが大切です。ケアマネジャーからしっかり説明を受け、サービス内容や利用する曜日、費用、緊急時の対応範囲などを確認したうえで契約を進めましょう。


7.事業者と契約し、サービスの利用を開始する


ケアプランに基づいて、訪問介護や通所介護(デイサービス)、訪問看護、福祉用具の貸与、短期入所(ショートステイ)など、必要なサービスの提供事業者と契約します。


サービスの利用時には、介護保険被保険者証と介護保険負担割合証を事業者へ提示します。介護保険が適用される場合の自己負担は、原則として費用の1〜3割です。なお、40〜64歳の第2号被保険者は、所得にかかわらず1割負担です。


ただし、以下の費用は介護保険の対象外であり、別途負担が発生する場合があるので注意が必要です。


  • 食費、居住費、日用品費
  • サービス提供地域外からの交通費
  • 在宅サービスにおいて、要介護度ごとに定められた支給限度額を超えて利用した分の費用(原則として全額自己負担)


契約前に、月の見込み費用や介護保険でカバーされない保険外費用について、必ず事業者から確認を取っておきましょう。


申請からサービス利用開始までの期間はどれくらい?


認定結果の通知は原則として申請から30日以内ですが、その後にケアマネジャーや事業者を探し、契約や日程調整を行う時間も必要です。希望する事業所に空きがない場合は、さらに時間がかかることがあります。


退院が迫っている、家族だけでは在宅生活を支えられないなど、早急な支援が必要なときは申請時に伝えてください。認定結果が出る前から、暫定的なケアプランでサービスを利用できるかもしれません。ただし、認定結果や支給限度額によっては自己負担が生じる可能性があります。対応は地域によって異なるため、利用前に市区町村の役所や地域包括支援センター、ケアマネジャーへ確認することが大切です。


ケアマネジャーや事業所はどう選ぶ?


市区町村や地域包括支援センターから事業所の一覧をもらえるほか、厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」でも検索できます。実際に選ぶ際に意識すべきポイントは以下のとおりです。


  • 本人や家族の話を急がずに聞いてくれるか
  • 希望する地域や曜日に対応できるか
  • 説明がわかりやすく、費用を書面で確認できるか
  • 本人の自立や尊厳を尊重しているか
  • 医療機関やほかのサービスとの連携体制があるか
  • 緊急時にできること、できないことが明確か


また、一度決めたケアマネジャーや事業所を、ずっと利用し続けなければならないわけではありません。相性や対応に疑問を感じた場合は、本人の意向を確認しながら変更を相談できます。


利用開始後も、サービス内容は見直せる


介護サービスは、利用を始めたら終わりではありません。ケアマネジャーが定期的に本人の状態や利用状況を確認し、必要に応じてケアプランを見直します。


「デイサービスに通うことで外出が増えた」「家族の負担が想定より大きい」「夜間の見守りが必要になった」などの変化があれば、次の面談を待たずに相談しましょう。サービスの追加だけでなく、本人ができるようになったことに合わせて利用を減らすこともできます。


本人が介護保険の利用を嫌がるときは


家族が必要性を感じていても、本人が「まだ介護は必要ない」「知らない人を家に入れたくない」と抵抗することがあります。無理に説得しようとすると、本人が監視されている、能力を否定されたと感じて心を閉ざしてしまう場合があります。


まずは、介護を受けてもらうことを目標にするのではなく、本人が困っていることや、続けたい生活を聞いてみましょう。


たとえば、「買い物を続けるために足腰を保ちたい」「入浴への不安を減らしたい」など、本人にとってのメリットと結びつけながら話すと、受け入れてもらいやすくなります。また、地域包括支援センターへ家族だけで相談し、専門職から第三者として自然に関わってもらう方法も有効です。


介護保険で足りない部分は、保険外サービスで補える


介護保険は、本人の自立支援に必要と判断されたサービスを、ケアプランに基づいて提供する制度です。そのため、家族の希望すべてに対応してもらえるわけではありません。


たとえば、定期的な話し相手や趣味の時間の付き添い、介護保険の対象にならない外出同行、長時間の見守りなどは、自治体の事業や民間の保険外サービス、地域のボランティアなどでカバーできる場合があります。介護保険と保険外サービスを、目的に応じて併用することも考慮しておきましょう。


ただし、介護保険外のサービスは事業者ごとに対応範囲・資格・料金・緊急時の体制が異なります。契約前に、できることとできないことをしっかり確認してください。


迷ったら、まず地域包括支援センターへ


介護保険の手続きは段階が多く、初めての方には複雑に感じられます。しかし、必要なサービスを家族だけで調べ、すべて決めてから相談する必要はありません。


申請するほどの状態かわからないという段階でも、親が住む地域の地域包括支援センターへ相談することができます。早めに地域との接点をつくっておくことは、急な入院や状態変化があったときの備えにもなります。


介護が始まる前の、日常的な見守りという選択肢「定期訪問見守りサービス(WF GRACE)」


「介護保険を使うほどではないけれど、離れて暮らす親の日常が心配」「認知症予防のために、会話や人と接する機会を増やしてあげたい」といったご家族の思いに応える選択肢としておすすめなのが、定期訪問見守りサービス「WF GRACE(ウォームフォレストグレイス)」です。


WF GRACEは、東京・神奈川の一部地域で、主に自立して暮らすシニアの方を対象に、定期訪問による見守りを行っています。会話や無理のない運動、暮らしの様子の確認を通じて、ご本人が心豊かに過ごせる時間をつくり、訪問時のご様子をご家族へお伝えします。


当サービスは介護保険による訪問介護ではありません。身体介護、医療行為、服薬管理、家事代行、マッサージ、緊急駆けつけには対応しておりません。また、ご利用には原則としてご本人の同意が必要です。


介護保険を利用している方は、担当のケアマネジャーへ相談したうえで、介護保険では補いにくい交流や定期的な様子確認のために併用をご検討ください。

※本記事は2026年9月時点の公的情報をもとに、介護保険制度の一般的な流れを解説したものです。必要書類、受付方法、地域支援事業の内容などは自治体によって異なります。実際の利用については、お住まいの市区町村または地域包括支援センターへご確認ください。

著者プロフィール


定期訪問見守りサービス warm forest GRACE 事務局


東京都・神奈川県を対象に高齢者向けの定期訪問見守りサービスを提供するwarm forest GRACE(ウォームフォレストグレイス)事務局です。「生活できる」だけでなく「心から楽しい」シニアライフを応援しています。

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【はじめての介護】親の変化に気づいたらどうする?介護保険の申請手順から保険外サービスの活用まで

2026/10/01

親の暮らしにちょっとした不安を感じても、「何から始めればよいのかわからない」「まだ介護が必要な状態とは言えない」と、相談をためらう方は少なくありません。


介護保険サービスを利用するには、市区町村へ申請して要介護・要支援の認定を受ける必要があります。しかし、家族だけで解決策を決めてから動く必要はありません。まずは、親御さんが暮らす地域の相談窓口へ、今困っていることをありのまま伝えることから始められます。


この記事では、介護保険の相談からサービス開始までのステップを分かりやすく解説するとともに、制度の枠組みだけではカバーしきれない、介護前の見守りや日常の交流を支える選択肢についてもご紹介します。


介護保険はどのような人が利用できる?


介護保険は65歳以上の方だけでなく、特定の病気がある40歳以上の方も対象となります。年齢や病名だけでなく、日常の暮らしでどの程度手助けが必要かが総合的に判断される仕組みについて解説します。


対象となる方の条件(第1号・第2号被保険者)


介護保険サービスの対象となるのは、要介護または要支援の認定を受けた方です。


  • 65歳以上の方(第1号被保険者):日常生活に介護や支援が必要となった場合、原因を問わず認定を受ければ利用可能。
  • 40~64歳で医療保険に加入している方(第2号被保険者):がん末期、関節リウマチ、初老期における認知症、脳血管疾患など、国が定める16種類の特定疾病が原因で介護・支援が必要になった場合に利用可能。


認定の基準は「生活上の困りごと」の実態


認定は、病名や年齢だけで一律に決まるものではありません。食事や入浴、排せつ、移動、服薬、金銭管理、意思疎通など、日常生活を送るうえで「どの程度の介助や見守りが必要か」を総合的に判定します。


そのため、一人暮らしだから必ず認定される、認知症と診断されたら必ず要介護になるというわけではありません。一方で、本人が「自分でできている」と主張していても、家族による頻繁な電話確認や食事の準備、通院同行、服薬確認がなければ暮らしが成り立たない場合は、その支援の実態をしっかり伝えることが大切です。


介護保険を利用するまでの7つのステップ


介護保険の利用は、専門窓口への相談から始まり、申請、認定調査、ケアプラン作成を経てサービス開始に至ります。後悔しない介護選びのために知っておきたい、具体的な手続きの流れと家族のポイントを7段階で解説します。


1.市区町村または地域包括支援センターへ相談する


最初の相談先は、親が住民票を置いている市区町村の介護保険担当窓口、または担当地区の地域包括支援センターです。離れて暮らす家族からの相談も受け付けています。


地域包括支援センターは、高齢者の暮らしや介護について無料で相談できる公的な総合相談窓口です。保健師や社会福祉士、主任介護支援専門員(ケアマネジャー)などの専門職が配置されており、介護保険の申請手続きはもちろん、その他の公的・地域サービスも含めて幅広く相談に乗ってくれます。


相談するときは、次のような情報をメモしておくと状況が伝わりやすくなります。


  • 転倒、物忘れ、食事量の低下、家事の滞りなど、最近の気になる変化
  • 本人が一人でできること/家族が手伝っていることの実態
  • 持病、通院先の医療機関、服用中の薬
  • 住まいの環境(例:一人暮らしか、同居家族がいるか)
  • 家族が困っていることや、今後の心配事
  • 本人の介護サービスに対する気持ち・意向


「まだ介護が必要か分からない」「以前より外出が減った」という段階でも、遠慮なく相談してみるとよいでしょう。


2.要介護・要支援認定を申請する


介護保険サービスが必要と考えられたら、市区町村の窓口へ「要介護・要支援認定」を申請します。本人や家族が申請するほか、地域包括支援センター等に申請の手続きを代行してもらうこともできます。申請に必要となる書類や情報は以下のとおりです。


  • 介護保険要介護認定・要支援認定申請書
  • 介護保険被保険者証(65歳以上の方)
  • 健康保険証などの医療保険証(40~64歳の方/加入している医療保険の確認書類)
  • 主治医の情報(かかりつけ医の医療機関名、医師の氏名、所在地など)


※必要書類や受付方法は自治体によって多少異なる場合があるため、事前にお住まいの市区町村の案内をご確認ください。


※普段かかっている主治医(かかりつけ医)がいない場合でも、申請を諦める必要はありません。どの医療機関を受診して意見書を書いてもらえばよいか、申請時に市区町村の窓口へ相談できます。


3.訪問による「認定調査」と「主治医意見書」の作成


申請が受理されると、判定のベースとなる「認定調査」と「主治医意見書の作成」が並行して進められます。


まず認定調査とは、市区町村の調査員などがご本人の自宅や施設を訪問し、心身の状態や日常の様子について聞き取りを行うことです。身体機能だけでなく、認知機能、精神・行動上の特徴、社会生活への適応など、全国共通の調査項目に沿って確認されます。


続いて主治医意見書とは、市区町村から、申請時に指定した主治医(かかりつけ医)へ直接作成が依頼される公的な書類です。医師が医学的見地から、病気やケガの状況、身体・認知機能の障害の程度、特別な医療処置の有無、日常の自立度や介護上の留意点などを記入します。家族が直接医師から受け取って提出するのではなく、市区町村と医療機関の間でやり取りされるのが基本です。


認定調査や主治医意見書の作成について、ご家族は下記の内容を意識しておくとよいでしょう。


高齢の方は、調査員や医師の前で「何でも自分でできる」と張り切ってしまうことが少なくありません。そのため、認定調査では「薬は飲めている」ではなく「カレンダーにセットして、毎日電話連絡をすれば飲める」のように、普段どのような手助けがあって成り立っているかを具体的に伝えます。頻繁に起きないトラブル(転倒、夜間の混乱、失禁など)もメモで渡すと確実です。


主治医意見書においては、普段の診察時間が短いと、医師が日常の暮らしでの困りごとを把握しきれていない場合があります。申請するタイミングで、日頃の生活上の変化や困っている実態を主治医に伝えておくと、より実態に即した意見書を作成してもらえます。


4.介護認定審査会での審査・判定


認定調査の結果(一次判定)と主治医意見書の内容をあわせて、医療・保健・福祉の専門家で構成される介護認定審査会が審査(二次判定)を行います。判定結果は下記のいずれかです。


  • 非該当(自立)
  • 要支援1・2
  • 要介護1〜5


要介護度において、数字が大きいほど必要な介護の程度が重いことを示します。ただし、特定の病名や症状だけで機械的に決まるものではなく、必要な介護の手間を総合して判定されます。


5.認定結果の通知を受け取る


認定結果は、原則として申請日から30日以内に市区町村から通知されます。ただし、調査日程や主治医意見書の作成状況などにより、30日を超えることもあります。


通知書には、要介護度と認定の有効期間が記載されています。認定には期限があるため、継続して介護保険を利用する場合は、有効期間が終わる前の更新申請が必要です。また、心身の状態が大きく変化し、現在の要介護度が実態に合わなくなった場合は、有効期間の途中でも区分変更申請を検討できます。


認定結果に納得できないときは、まず市区町村の介護保険担当窓口へ行き、判定理由や今後の手続きを確認しましょう。不服申立ての制度もありますが、状態の変化がある場合は区分変更申請の方が適することもあります。


非該当になった場合でも、まったく支援が受けられないとは限りません。自治体が実施する介護予防・日常生活支援総合事業、配食サービス、通いの場、見守りなどを利用できる場合があります。利用条件や内容は地域によって異なるため、あきらめずに地域包括支援センターへ相談してみましょう。


6.ケアプラン(介護サービス計画)を作成する


認定を受けただけで、サービスが自動的に始まるわけではありません。本人や家族の希望、生活上の課題、心身の状態を整理し、どのサービスをどのくらい利用するかをまとめた「ケアプラン」を作成します。ケアプラン作成の依頼先は以下のとおりです。


  • 要介護1〜5で自宅生活を続ける方:居宅介護支援事業所と契約し、ケアマネジャーへ作成を依頼する。
  • 要支援1・2の方:地域包括支援センターの担当職員、または委託を受けた居宅介護支援事業所のケアマネジャーなどが介護予防ケアプランを作成する。
  • 施設への入所を希望する方:希望する施設へ直接申し込み、施設側のケアマネジャーと調整を行う。


なお、ケアプランの作成費用は原則として全額保険給付されるため、利用者の自己負担はありません。


ケアマネジャーには、「入浴を手伝ってほしい」といった目先の介護希望だけでなく、「家族が仕事を続けられる体制にしたい」「本人の外出や交流の機会を保ちたい」など、生活全体の希望や思いを伝えることが大切です。ケアマネジャーからしっかり説明を受け、サービス内容や利用する曜日、費用、緊急時の対応範囲などを確認したうえで契約を進めましょう。


7.事業者と契約し、サービスの利用を開始する


ケアプランに基づいて、訪問介護や通所介護(デイサービス)、訪問看護、福祉用具の貸与、短期入所(ショートステイ)など、必要なサービスの提供事業者と契約します。


サービスの利用時には、介護保険被保険者証と介護保険負担割合証を事業者へ提示します。介護保険が適用される場合の自己負担は、原則として費用の1〜3割です。なお、40〜64歳の第2号被保険者は、所得にかかわらず1割負担です。


ただし、以下の費用は介護保険の対象外であり、別途負担が発生する場合があるので注意が必要です。


  • 食費、居住費、日用品費
  • サービス提供地域外からの交通費
  • 在宅サービスにおいて、要介護度ごとに定められた支給限度額を超えて利用した分の費用(原則として全額自己負担)


契約前に、月の見込み費用や介護保険でカバーされない保険外費用について、必ず事業者から確認を取っておきましょう。


申請からサービス利用開始までの期間はどれくらい?


認定結果の通知は原則として申請から30日以内ですが、その後にケアマネジャーや事業者を探し、契約や日程調整を行う時間も必要です。希望する事業所に空きがない場合は、さらに時間がかかることがあります。


退院が迫っている、家族だけでは在宅生活を支えられないなど、早急な支援が必要なときは申請時に伝えてください。認定結果が出る前から、暫定的なケアプランでサービスを利用できるかもしれません。ただし、認定結果や支給限度額によっては自己負担が生じる可能性があります。対応は地域によって異なるため、利用前に市区町村の役所や地域包括支援センター、ケアマネジャーへ確認することが大切です。


ケアマネジャーや事業所はどう選ぶ?


市区町村や地域包括支援センターから事業所の一覧をもらえるほか、厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」でも検索できます。実際に選ぶ際に意識すべきポイントは以下のとおりです。


  • 本人や家族の話を急がずに聞いてくれるか
  • 希望する地域や曜日に対応できるか
  • 説明がわかりやすく、費用を書面で確認できるか
  • 本人の自立や尊厳を尊重しているか
  • 医療機関やほかのサービスとの連携体制があるか
  • 緊急時にできること、できないことが明確か


また、一度決めたケアマネジャーや事業所を、ずっと利用し続けなければならないわけではありません。相性や対応に疑問を感じた場合は、本人の意向を確認しながら変更を相談できます。


利用開始後も、サービス内容は見直せる


介護サービスは、利用を始めたら終わりではありません。ケアマネジャーが定期的に本人の状態や利用状況を確認し、必要に応じてケアプランを見直します。


「デイサービスに通うことで外出が増えた」「家族の負担が想定より大きい」「夜間の見守りが必要になった」などの変化があれば、次の面談を待たずに相談しましょう。サービスの追加だけでなく、本人ができるようになったことに合わせて利用を減らすこともできます。


本人が介護保険の利用を嫌がるときは


家族が必要性を感じていても、本人が「まだ介護は必要ない」「知らない人を家に入れたくない」と抵抗することがあります。無理に説得しようとすると、本人が監視されている、能力を否定されたと感じて心を閉ざしてしまう場合があります。


まずは、介護を受けてもらうことを目標にするのではなく、本人が困っていることや、続けたい生活を聞いてみましょう。


たとえば、「買い物を続けるために足腰を保ちたい」「入浴への不安を減らしたい」など、本人にとってのメリットと結びつけながら話すと、受け入れてもらいやすくなります。また、地域包括支援センターへ家族だけで相談し、専門職から第三者として自然に関わってもらう方法も有効です。


介護保険で足りない部分は、保険外サービスで補える


介護保険は、本人の自立支援に必要と判断されたサービスを、ケアプランに基づいて提供する制度です。そのため、家族の希望すべてに対応してもらえるわけではありません。


たとえば、定期的な話し相手や趣味の時間の付き添い、介護保険の対象にならない外出同行、長時間の見守りなどは、自治体の事業や民間の保険外サービス、地域のボランティアなどでカバーできる場合があります。介護保険と保険外サービスを、目的に応じて併用することも考慮しておきましょう。


ただし、介護保険外のサービスは事業者ごとに対応範囲・資格・料金・緊急時の体制が異なります。契約前に、できることとできないことをしっかり確認してください。


迷ったら、まず地域包括支援センターへ


介護保険の手続きは段階が多く、初めての方には複雑に感じられます。しかし、必要なサービスを家族だけで調べ、すべて決めてから相談する必要はありません。


申請するほどの状態かわからないという段階でも、親が住む地域の地域包括支援センターへ相談することができます。早めに地域との接点をつくっておくことは、急な入院や状態変化があったときの備えにもなります。


介護が始まる前の、日常的な見守りという選択肢「定期訪問見守りサービス(WF GRACE)」


「介護保険を使うほどではないけれど、離れて暮らす親の日常が心配」「認知症予防のために、会話や人と接する機会を増やしてあげたい」といったご家族の思いに応える選択肢としておすすめなのが、定期訪問見守りサービス「WF GRACE(ウォームフォレストグレイス)」です。


WF GRACEは、東京・神奈川の一部地域で、主に自立して暮らすシニアの方を対象に、定期訪問による見守りを行っています。会話や無理のない運動、暮らしの様子の確認を通じて、ご本人が心豊かに過ごせる時間をつくり、訪問時のご様子をご家族へお伝えします。


当サービスは介護保険による訪問介護ではありません。身体介護、医療行為、服薬管理、家事代行、マッサージ、緊急駆けつけには対応しておりません。また、ご利用には原則としてご本人の同意が必要です。


介護保険を利用している方は、担当のケアマネジャーへ相談したうえで、介護保険では補いにくい交流や定期的な様子確認のために併用をご検討ください。

※本記事は2026年9月時点の公的情報をもとに、介護保険制度の一般的な流れを解説したものです。必要書類、受付方法、地域支援事業の内容などは自治体によって異なります。実際の利用については、お住まいの市区町村または地域包括支援センターへご確認ください。

著者プロフィール


定期訪問見守りサービス warm forest GRACE 事務局


東京都・神奈川県を対象に高齢者向けの定期訪問見守りサービスを提供するwarm forest GRACE(ウォームフォレストグレイス)事務局です。「生活できる」だけでなく「心から楽しい」シニアライフを応援しています。

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【はじめての介護】親の変化に気づいたらどうする?介護保険の申請手順から保険外サービスの活用まで

2026/10/01

親の暮らしにちょっとした不安を感じても、「何から始めればよいのかわからない」「まだ介護が必要な状態とは言えない」と、相談をためらう方は少なくありません。


介護保険サービスを利用するには、市区町村へ申請して要介護・要支援の認定を受ける必要があります。しかし、家族だけで解決策を決めてから動く必要はありません。まずは、親御さんが暮らす地域の相談窓口へ、今困っていることをありのまま伝えることから始められます。


この記事では、介護保険の相談からサービス開始までのステップを分かりやすく解説するとともに、制度の枠組みだけではカバーしきれない、介護前の見守りや日常の交流を支える選択肢についてもご紹介します。


介護保険はどのような人が利用できる?


介護保険は65歳以上の方だけでなく、特定の病気がある40歳以上の方も対象となります。年齢や病名だけでなく、日常の暮らしでどの程度手助けが必要かが総合的に判断される仕組みについて解説します。


対象となる方の条件(第1号・第2号被保険者)


介護保険サービスの対象となるのは、要介護または要支援の認定を受けた方です。


  • 65歳以上の方(第1号被保険者):日常生活に介護や支援が必要となった場合、原因を問わず認定を受ければ利用可能。
  • 40~64歳で医療保険に加入している方(第2号被保険者):がん末期、関節リウマチ、初老期における認知症、脳血管疾患など、国が定める16種類の特定疾病が原因で介護・支援が必要になった場合に利用可能。


認定の基準は「生活上の困りごと」の実態


認定は、病名や年齢だけで一律に決まるものではありません。食事や入浴、排せつ、移動、服薬、金銭管理、意思疎通など、日常生活を送るうえで「どの程度の介助や見守りが必要か」を総合的に判定します。


そのため、一人暮らしだから必ず認定される、認知症と診断されたら必ず要介護になるというわけではありません。一方で、本人が「自分でできている」と主張していても、家族による頻繁な電話確認や食事の準備、通院同行、服薬確認がなければ暮らしが成り立たない場合は、その支援の実態をしっかり伝えることが大切です。


介護保険を利用するまでの7つのステップ


介護保険の利用は、専門窓口への相談から始まり、申請、認定調査、ケアプラン作成を経てサービス開始に至ります。後悔しない介護選びのために知っておきたい、具体的な手続きの流れと家族のポイントを7段階で解説します。


1.市区町村または地域包括支援センターへ相談する


最初の相談先は、親が住民票を置いている市区町村の介護保険担当窓口、または担当地区の地域包括支援センターです。離れて暮らす家族からの相談も受け付けています。


地域包括支援センターは、高齢者の暮らしや介護について無料で相談できる公的な総合相談窓口です。保健師や社会福祉士、主任介護支援専門員(ケアマネジャー)などの専門職が配置されており、介護保険の申請手続きはもちろん、その他の公的・地域サービスも含めて幅広く相談に乗ってくれます。


相談するときは、次のような情報をメモしておくと状況が伝わりやすくなります。


  • 転倒、物忘れ、食事量の低下、家事の滞りなど、最近の気になる変化
  • 本人が一人でできること/家族が手伝っていることの実態
  • 持病、通院先の医療機関、服用中の薬
  • 住まいの環境(例:一人暮らしか、同居家族がいるか)
  • 家族が困っていることや、今後の心配事
  • 本人の介護サービスに対する気持ち・意向


「まだ介護が必要か分からない」「以前より外出が減った」という段階でも、遠慮なく相談してみるとよいでしょう。


2.要介護・要支援認定を申請する


介護保険サービスが必要と考えられたら、市区町村の窓口へ「要介護・要支援認定」を申請します。本人や家族が申請するほか、地域包括支援センター等に申請の手続きを代行してもらうこともできます。申請に必要となる書類や情報は以下のとおりです。


  • 介護保険要介護認定・要支援認定申請書
  • 介護保険被保険者証(65歳以上の方)
  • 健康保険証などの医療保険証(40~64歳の方/加入している医療保険の確認書類)
  • 主治医の情報(かかりつけ医の医療機関名、医師の氏名、所在地など)


※必要書類や受付方法は自治体によって多少異なる場合があるため、事前にお住まいの市区町村の案内をご確認ください。


※普段かかっている主治医(かかりつけ医)がいない場合でも、申請を諦める必要はありません。どの医療機関を受診して意見書を書いてもらえばよいか、申請時に市区町村の窓口へ相談できます。


3.訪問による「認定調査」と「主治医意見書」の作成


申請が受理されると、判定のベースとなる「認定調査」と「主治医意見書の作成」が並行して進められます。


まず認定調査とは、市区町村の調査員などがご本人の自宅や施設を訪問し、心身の状態や日常の様子について聞き取りを行うことです。身体機能だけでなく、認知機能、精神・行動上の特徴、社会生活への適応など、全国共通の調査項目に沿って確認されます。


続いて主治医意見書とは、市区町村から、申請時に指定した主治医(かかりつけ医)へ直接作成が依頼される公的な書類です。医師が医学的見地から、病気やケガの状況、身体・認知機能の障害の程度、特別な医療処置の有無、日常の自立度や介護上の留意点などを記入します。家族が直接医師から受け取って提出するのではなく、市区町村と医療機関の間でやり取りされるのが基本です。


認定調査や主治医意見書の作成について、ご家族は下記の内容を意識しておくとよいでしょう。


高齢の方は、調査員や医師の前で「何でも自分でできる」と張り切ってしまうことが少なくありません。そのため、認定調査では「薬は飲めている」ではなく「カレンダーにセットして、毎日電話連絡をすれば飲める」のように、普段どのような手助けがあって成り立っているかを具体的に伝えます。頻繁に起きないトラブル(転倒、夜間の混乱、失禁など)もメモで渡すと確実です。


主治医意見書においては、普段の診察時間が短いと、医師が日常の暮らしでの困りごとを把握しきれていない場合があります。申請するタイミングで、日頃の生活上の変化や困っている実態を主治医に伝えておくと、より実態に即した意見書を作成してもらえます。


4.介護認定審査会での審査・判定


認定調査の結果(一次判定)と主治医意見書の内容をあわせて、医療・保健・福祉の専門家で構成される介護認定審査会が審査(二次判定)を行います。判定結果は下記のいずれかです。


  • 非該当(自立)
  • 要支援1・2
  • 要介護1〜5


要介護度において、数字が大きいほど必要な介護の程度が重いことを示します。ただし、特定の病名や症状だけで機械的に決まるものではなく、必要な介護の手間を総合して判定されます。


5.認定結果の通知を受け取る


認定結果は、原則として申請日から30日以内に市区町村から通知されます。ただし、調査日程や主治医意見書の作成状況などにより、30日を超えることもあります。


通知書には、要介護度と認定の有効期間が記載されています。認定には期限があるため、継続して介護保険を利用する場合は、有効期間が終わる前の更新申請が必要です。また、心身の状態が大きく変化し、現在の要介護度が実態に合わなくなった場合は、有効期間の途中でも区分変更申請を検討できます。


認定結果に納得できないときは、まず市区町村の介護保険担当窓口へ行き、判定理由や今後の手続きを確認しましょう。不服申立ての制度もありますが、状態の変化がある場合は区分変更申請の方が適することもあります。


非該当になった場合でも、まったく支援が受けられないとは限りません。自治体が実施する介護予防・日常生活支援総合事業、配食サービス、通いの場、見守りなどを利用できる場合があります。利用条件や内容は地域によって異なるため、あきらめずに地域包括支援センターへ相談してみましょう。


6.ケアプラン(介護サービス計画)を作成する


認定を受けただけで、サービスが自動的に始まるわけではありません。本人や家族の希望、生活上の課題、心身の状態を整理し、どのサービスをどのくらい利用するかをまとめた「ケアプラン」を作成します。ケアプラン作成の依頼先は以下のとおりです。


  • 要介護1〜5で自宅生活を続ける方:居宅介護支援事業所と契約し、ケアマネジャーへ作成を依頼する。
  • 要支援1・2の方:地域包括支援センターの担当職員、または委託を受けた居宅介護支援事業所のケアマネジャーなどが介護予防ケアプランを作成する。
  • 施設への入所を希望する方:希望する施設へ直接申し込み、施設側のケアマネジャーと調整を行う。


なお、ケアプランの作成費用は原則として全額保険給付されるため、利用者の自己負担はありません。


ケアマネジャーには、「入浴を手伝ってほしい」といった目先の介護希望だけでなく、「家族が仕事を続けられる体制にしたい」「本人の外出や交流の機会を保ちたい」など、生活全体の希望や思いを伝えることが大切です。ケアマネジャーからしっかり説明を受け、サービス内容や利用する曜日、費用、緊急時の対応範囲などを確認したうえで契約を進めましょう。


7.事業者と契約し、サービスの利用を開始する


ケアプランに基づいて、訪問介護や通所介護(デイサービス)、訪問看護、福祉用具の貸与、短期入所(ショートステイ)など、必要なサービスの提供事業者と契約します。


サービスの利用時には、介護保険被保険者証と介護保険負担割合証を事業者へ提示します。介護保険が適用される場合の自己負担は、原則として費用の1〜3割です。なお、40〜64歳の第2号被保険者は、所得にかかわらず1割負担です。


ただし、以下の費用は介護保険の対象外であり、別途負担が発生する場合があるので注意が必要です。


  • 食費、居住費、日用品費
  • サービス提供地域外からの交通費
  • 在宅サービスにおいて、要介護度ごとに定められた支給限度額を超えて利用した分の費用(原則として全額自己負担)


契約前に、月の見込み費用や介護保険でカバーされない保険外費用について、必ず事業者から確認を取っておきましょう。


申請からサービス利用開始までの期間はどれくらい?


認定結果の通知は原則として申請から30日以内ですが、その後にケアマネジャーや事業者を探し、契約や日程調整を行う時間も必要です。希望する事業所に空きがない場合は、さらに時間がかかることがあります。


退院が迫っている、家族だけでは在宅生活を支えられないなど、早急な支援が必要なときは申請時に伝えてください。認定結果が出る前から、暫定的なケアプランでサービスを利用できるかもしれません。ただし、認定結果や支給限度額によっては自己負担が生じる可能性があります。対応は地域によって異なるため、利用前に市区町村の役所や地域包括支援センター、ケアマネジャーへ確認することが大切です。


ケアマネジャーや事業所はどう選ぶ?


市区町村や地域包括支援センターから事業所の一覧をもらえるほか、厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」でも検索できます。実際に選ぶ際に意識すべきポイントは以下のとおりです。


  • 本人や家族の話を急がずに聞いてくれるか
  • 希望する地域や曜日に対応できるか
  • 説明がわかりやすく、費用を書面で確認できるか
  • 本人の自立や尊厳を尊重しているか
  • 医療機関やほかのサービスとの連携体制があるか
  • 緊急時にできること、できないことが明確か


また、一度決めたケアマネジャーや事業所を、ずっと利用し続けなければならないわけではありません。相性や対応に疑問を感じた場合は、本人の意向を確認しながら変更を相談できます。


利用開始後も、サービス内容は見直せる


介護サービスは、利用を始めたら終わりではありません。ケアマネジャーが定期的に本人の状態や利用状況を確認し、必要に応じてケアプランを見直します。


「デイサービスに通うことで外出が増えた」「家族の負担が想定より大きい」「夜間の見守りが必要になった」などの変化があれば、次の面談を待たずに相談しましょう。サービスの追加だけでなく、本人ができるようになったことに合わせて利用を減らすこともできます。


本人が介護保険の利用を嫌がるときは


家族が必要性を感じていても、本人が「まだ介護は必要ない」「知らない人を家に入れたくない」と抵抗することがあります。無理に説得しようとすると、本人が監視されている、能力を否定されたと感じて心を閉ざしてしまう場合があります。


まずは、介護を受けてもらうことを目標にするのではなく、本人が困っていることや、続けたい生活を聞いてみましょう。


たとえば、「買い物を続けるために足腰を保ちたい」「入浴への不安を減らしたい」など、本人にとってのメリットと結びつけながら話すと、受け入れてもらいやすくなります。また、地域包括支援センターへ家族だけで相談し、専門職から第三者として自然に関わってもらう方法も有効です。


介護保険で足りない部分は、保険外サービスで補える


介護保険は、本人の自立支援に必要と判断されたサービスを、ケアプランに基づいて提供する制度です。そのため、家族の希望すべてに対応してもらえるわけではありません。


たとえば、定期的な話し相手や趣味の時間の付き添い、介護保険の対象にならない外出同行、長時間の見守りなどは、自治体の事業や民間の保険外サービス、地域のボランティアなどでカバーできる場合があります。介護保険と保険外サービスを、目的に応じて併用することも考慮しておきましょう。


ただし、介護保険外のサービスは事業者ごとに対応範囲・資格・料金・緊急時の体制が異なります。契約前に、できることとできないことをしっかり確認してください。


迷ったら、まず地域包括支援センターへ


介護保険の手続きは段階が多く、初めての方には複雑に感じられます。しかし、必要なサービスを家族だけで調べ、すべて決めてから相談する必要はありません。


申請するほどの状態かわからないという段階でも、親が住む地域の地域包括支援センターへ相談することができます。早めに地域との接点をつくっておくことは、急な入院や状態変化があったときの備えにもなります。


介護が始まる前の、日常的な見守りという選択肢「定期訪問見守りサービス(WF GRACE)」


「介護保険を使うほどではないけれど、離れて暮らす親の日常が心配」「認知症予防のために、会話や人と接する機会を増やしてあげたい」といったご家族の思いに応える選択肢としておすすめなのが、定期訪問見守りサービス「WF GRACE(ウォームフォレストグレイス)」です。


WF GRACEは、東京・神奈川の一部地域で、主に自立して暮らすシニアの方を対象に、定期訪問による見守りを行っています。会話や無理のない運動、暮らしの様子の確認を通じて、ご本人が心豊かに過ごせる時間をつくり、訪問時のご様子をご家族へお伝えします。


当サービスは介護保険による訪問介護ではありません。身体介護、医療行為、服薬管理、家事代行、マッサージ、緊急駆けつけには対応しておりません。また、ご利用には原則としてご本人の同意が必要です。


介護保険を利用している方は、担当のケアマネジャーへ相談したうえで、介護保険では補いにくい交流や定期的な様子確認のために併用をご検討ください。

※本記事は2026年9月時点の公的情報をもとに、介護保険制度の一般的な流れを解説したものです。必要書類、受付方法、地域支援事業の内容などは自治体によって異なります。実際の利用については、お住まいの市区町村または地域包括支援センターへご確認ください。

著者プロフィール


定期訪問見守りサービス warm forest GRACE 事務局


東京都・神奈川県を対象に高齢者向けの定期訪問見守りサービスを提供するwarm forest GRACE(ウォームフォレストグレイス)事務局です。「生活できる」だけでなく「心から楽しい」シニアライフを応援しています。

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